2025年に入り、銀価格は1トロイオンスあたり30ドル前後で推移し、過去5年間で約70%上昇しています。
金価格が過去最高値を更新する中、「次は銀の時代」と期待する投資家も増えており、特に手軽に投資できる銀ETFに注目が集まっています。
銀ETFなら現物の銀を保有することなく、証券会社で株式と同じように売買可能。最低4,000円程度から始められるため、初めて貴金属投資をする方にもおすすめです。
さらに、太陽光パネルや電気自動車(EV)の需要拡大により、銀の産業需要は急速に増加。一方で銀鉱山の採掘可能年数は約20年と言われ、中長期的な価格上昇が期待されています。
しかし、どの銀ETFを選べばよいのか、メリットやデメリットは何なのか、迷ってしまいますよね。
この記事では、日本で購入できる銀ETFのおすすめ銘柄や選び方、投資する際の注意点まで詳しく解説します。
銀ETF投資が初めての方でも、各銘柄の特徴や選び方がしっかり理解できるよう解説していきます。
まずは、銀投資が注目される理由から見ていきましょう。
銀ETFの代替投資先をすぐに知りたい方は、おすすめ運用先3選をご覧ください。年利12%~29%の実績を持つファンドを詳しく紹介しています。
銀ETF(上場投資信託)の基本とは?
銀ETFは、銀の価格動向に連動した値動きを目指す上場投資信託のことです。
ETFという言葉は「Exchange Traded Fund」の略で、証券取引所で売買できる投資信託を指します。
通常の投資信託と違い、株式と同じように取引時間中いつでも売買可能です。
銀の現物を直接購入する代わりに、証券会社の口座から簡単に銀への投資ができる仕組みになっています。
保管場所の心配や盗難リスクを気にすることなく、スマートフォンやパソコンから気軽に取引できるのが大きな魅力でしょう。
銀ETFを購入すると、運用会社が投資家から集めた資金で銀市場に投資を行い、その価格変動が投資家の利益につながります。
なぜ今銀なのか?注目される理由と将来性を分析
銀への投資が注目を集める背景には、産業需要の拡大と供給不足という構造的な要因があります。
世界的な脱炭素化の流れや電子機器の普及により、銀の需要は今後も増加する見込みです。
一方で、銀鉱山の採掘可能年数は限られており、需給バランスの変化が価格上昇につながる可能性があります。
産業需要の拡大が続いている
銀は導電性と反射性に優れた金属として、さまざまな産業分野で活用されています。
特に注目すべきは、太陽光パネルや電気自動車での需要が急速に拡大している点でしょう。
世界各国が再生可能エネルギーへの転換を進める中、太陽光発電パネルの生産量は年々増加しています。
The Silver Instituteによると、太陽光発電向けの銀需要は2024年に約2億オンスに達し、今後も年率10%以上の成長が見込まれています。
1枚のパネルあたり約20グラムの銀が使用され、代替材料の開発も進んでいますが、銀の優れた導電性を完全に代替することは困難とされています。
さらに、スマートフォンやパソコンなどの電子機器、医療機器でも銀は欠かせない素材として使われています。
こうした産業需要は全体の約50%以上を占めており、今後も成長が見込まれる分野ばかりです。
供給が不足している状況
銀の供給面では、採掘可能な量に限りがあることが大きな課題となっています。
現在のペースで採掘を続けた場合、あと約20年で既存の鉱山資源が枯渇するといわれています。
新しい鉱山の開発には莫大なコストと時間がかかるため、供給量を急激に増やすことは困難です。
リサイクルによる銀の回収も行われていますが、需要の増加に対して追いついていないのが現状でしょう。
銀の供給源 | 割合 | 課題 |
---|---|---|
鉱山からの産出 | 約70% | 埋蔵量の限界、採掘コスト上昇 |
リサイクル | 約20% | 回収率の限界、技術的制約 |
その他 | 約10% | 供給量が少ない |
金価格と連動する傾向がある
銀は金と同じ貴金属として、価格が似たような動きを見せることがよくあります。
投資家が安全資産を求めるときには、金と銀の両方に資金が流れやすくなります。
金銀比価(GSR)という指標では、現在は銀が割安な水準にあると判断されています。
歴史的にGSRは50から80の範囲で動いており、80を超えると銀投資のチャンスと考える投資家も多いでしょう。
このような背景から、銀ETFへの投資は今後の成長が期待できる選択肢として注目されているのです。
銀ETFのおすすめ銘柄を日本で買える商品から比較
日本の証券会社で購入できる銀ETFには、国内と米国に上場している商品があります。
それぞれ特徴や手数料が異なるため、投資スタイルに合わせて選ぶことが大切でしょう。
国内上場の銀関連ETF商品一覧
東京証券取引所に上場している銀ETFは、2025年1月時点で3銘柄あります。
円建てで取引できるため、為替リスクを気にせず投資したい方におすすめです。
銘柄名 | 対象指数 | 取引価格 (2025/1/17) | 信託報酬 |
---|---|---|---|
【1542】 純銀上場信託 | 銀地金の理論価格 | 14,145円 | 0.55% |
【1673】 WisdomTree銀 上場投資信託 | LBMA銀価格 | 4,380円 (10口から) | 0.49% |
【1676】 WisdomTree 貴金属バスケット | 貴金属価格 | 25,010円 | 0.44% |
【1542】純銀上場信託は、新NISA成長投資枠で購入できる唯一の国内銀ETF

【1542】純銀上場信託は、新NISA成長投資枠で購入できる唯一の国内銀ETFです。
三菱UFJ信託銀行が運用する「金の果実シリーズ」の一つで、大阪取引所の先物価格をベースとして算出した「銀地金100グラムあたりの理論価格」との連動を目指します。
最大の特徴は、一定の受益権口数(5,000口以上)を保有している場合、受益証券と引き換えに現物の銀地金に交換できる点です。ただし、個人投資家が現実的に交換するには約7,000万円相当の投資が必要となるため、実質的には機関投資家向けのオプションといえるでしょう。
過去5年間の平均リターンは、円ベースで年率19.25%(2025年1月17日時点)。分配金の支払いはありませんが、銀価格の上昇分がそのまま基準価額に反映されます。
【1673】は最低投資額が約4万4000円と高めですが、信託報酬が比較的安く設定

【1673】WisdomTree銀上場投資信託は、ウィズダムツリーの関連会社が運用し、ロンドン地金市場協会(LBMA)の銀価格に連動することを目指す国内ETFです。
最低投資額は10口単位のため約4万4000円と高めですが、信託報酬は0.49%と【1542】の0.55%より低く設定されています。
過去5年間の平均リターンは、円ベースで年率19.45%(2025年1月17日時点)。リターン面では【1542】とほぼ同等のパフォーマンスを示しています。
ただし、取引量は過去90日の平均で5,000口以下と少なめです。流動性の低さから、売買時にスプレッド(売値と買値の差)が広がりやすく、短期トレードには不向きな面があります。
【1676】は銀だけでなく金やプラチナなども含まれる
【1676】WisdomTree貴金属バスケット上場投資信託は、銀だけでなく金・プラチナ・パラジウムの4つの貴金属に分散投資できるETFです。
- 金:61.26%
- 銀:21.26%
- パラジウム:11.45%
- プラチナ:6.03%
金を中心とすることで価格変動を抑えつつ、銀やパラジウムで成長性も取り入れたバランス型の商品設計となっています。
過去5年間の平均リターンは、円ベースで年率11.83%(2025年1月17日時点)。純粋な銀ETFと比べるとリターンは控えめですが、これはプラチナとパラジウムの価格低迷と、金の相対的な安定性によるものです。
信託報酬は0.44%と、今回紹介する銀関連ETFの中で最も低コストです。「銀だけに集中投資するのは不安」「貴金属全体に分散投資したい」という方に適しています。
ただし、新NISAの対象外であることと、取引量が少ない点には注意が必要です。長期保有を前提とした投資に向いているでしょう。
米国上場の銀関連ETF商品一覧
米国市場では、世界最大級の銀ETFが取引されています。
ドル建てでの投資になりますが、流動性が高く売買しやすいのが特徴です。
銘柄名 | 投資対象 | 取引価格 (2025/1/17) | 経費率 |
---|---|---|---|
【SLV】 iシェアーズ シルバー ・トラスト | LBMA銀価格 | $27.61 | 0.50% |
【SIL】 グローバルX 銀ビジネスETF | 銀鉱山企業株 | $33.01 | 0.65% |
【SLV】iシェアーズ シルバー・トラストは世界最大級の銀ETF

【SLV】iシェアーズ シルバー・トラストは、世界最大の資産運用会社であるブラックロック(BlackRock)が運用する世界最大級の銀ETFです。
純資産総額は141.88億USD(約2.2兆円)に達し、圧倒的な流動性を誇ります。現物の銀を保有することで、LBMA銀価格に連動することを目指します。
過去5年間の平均リターンは、米ドルベースで年率10.41%(2025年1月17日時点)。国内ETFよりリターンが低く見えるのは、過去5年間で約43%の円安が進んだため、円ベースの国内ETFのリターンが上振れしているためです。
SLVは純粋に銀価格に連動するETFで、新NISAでも購入可能です。世界中で取引されているため、売買スプレッドが狭く、大口の売買でも価格への影響が限定的という利点があります。
【SIL】グローバルX 銀ビジネスETFは銀鉱山企業の株式に投資するETF

【SIL】グローバルX 銀ビジネスETFは、銀価格ではなく銀鉱山企業の株式に投資するETFです。
ソルアクティブ・グローバル銀鉱山指数(SOLGLOSI)に連動し、銀の採掘、加工、流通に関わる企業約30社に分散投資します。主な組入銘柄には、Wheaton Precious Metals(カナダ)、Pan American Silver(カナダ)、Fresnillo(メキシコ)などがあります。
過去5年間の平均リターンは、米ドルベースで年率2.64%に留まり、SLVの年率10.41%と大きな差があります(2025年1月17日時点)。
この差は、銀鉱山企業が運営コストの増加、環境規制の強化、地政学的リスクなどの影響を受けたためです。銀価格が上昇しても、企業の利益に直結しない場合があることを示しています。
ただし、銀価格が急騰する局面では、レバレッジ効果により銀価格以上のリターンを期待できる可能性もあります。ハイリスク・ハイリターンを求める投資家向けの商品といえるでしょう。
タイプ別でみるおすすめ銀ETF銘柄
投資目的や運用スタイルによって、選ぶべき銀ETFは変わってきます。
NISAを活用したい方には、【1542】純銀上場信託か【SLV】がおすすめです。
- NISA利用重視の方:【1542】純銀上場信託(国内)、【SLV】(米国)
- コスト重視の方:【1673】WisdomTree銀上場投資信託(信託報酬0.49%)
- 分散投資を求める方:【1676】WisdomTree貴金属バスケット(金、銀、プラチナ、パラジウム)
- 高リターン狙いの方:【SIL】グローバルX 銀ビジネスETF(銀鉱山株)
初心者の方は、まず銀価格に直接連動するシンプルな商品から始めるとよいでしょう。
投資に慣れてきたら、銀鉱山株ETFや貴金属バスケットETFで、より幅広い投資戦略を検討してみてください。
なぜ銀ETFに投資するべきか?銀購入の理由を解説
銀ETFには、現物の銀や他の投資商品にはない多くのメリットがあります。
手軽さやコストの安さだけでなく、ポートフォリオの分散効果も期待できるでしょう。
証券会社で手軽に購入が可能
銀ETFは、ネット証券の口座があれば誰でも簡単に購入できます。
銀の現物を買う場合は、貴金属店まで足を運ぶ必要がありますが、ETFならスマホやパソコンから数分で注文完了です。
24時間いつでも注文を出せる証券会社も多く、仕事で忙しい方でも投資しやすいでしょう。
保管場所の心配もなく、盗難リスクを考える必要もありません。
少ない資金からでも投資を始められる
銀の現物は最低でも1kgからの購入が一般的で、約17万円の資金が必要です。
しかし銀ETFなら、4,000円程度から投資を始められます。
米国のSLVなら1株約4,300円、国内の【1542】純銀上場信託なら1口約14,000円で購入可能です。
まとまった資金がなくても、毎月少しずつ積み立てていくこともできるでしょう。
投資にかかるコストを抑えられる
銀ETFの信託報酬は年0.5%前後と、アクティブファンドと比べて格段に安い設定です。
さらに、NISA口座なら売買手数料が無料になる証券会社が多いのも魅力でしょう。
現物の銀を購入する場合、売買時のスプレッドや保管料などで年間2万円以上のコストがかかることもあります。
ETFなら、100万円投資しても年間コストは5,000円程度で済みます。
リアルタイムでの取引と高い流動性
証券取引所が開いている時間なら、いつでも市場価格で売買できるのがETFの強みです。
急に現金が必要になったときも、すぐに売却して換金できます。
特にSLVのような人気銘柄は取引量が多く、希望の価格で売買しやすいでしょう。
投資信託のように基準価額が1日1回しか決まらないものと違い、価格変動を見ながら取引できるのも便利です。
分散投資によるリスク軽減効果
銀は株式や債券とは異なる値動きをすることが多く、ポートフォリオの分散効果が期待できます。
市場が不安定なときには、安全資産として銀の需要が高まる傾向があります。
株式市場が下落しても、銀価格は逆に上昇することもあるでしょう。
資産の一部を銀ETFに配分することで、全体のリスクを抑えながら安定した運用を目指せます。
インフレに対するヘッジ効果
物価が上昇すると、現金の価値は目減りしていきます。
しかし銀のような実物資産は、インフレ時に価格が上昇しやすい特徴があります。
歴史的にも、インフレ率が高い時期には銀価格も上昇する傾向が見られました。
将来の物価上昇に備えて、資産の一部を銀ETFで保有しておくのも賢い選択でしょう。
価値がゼロになることがない
企業の株式は倒産すれば紙くずになりますが、銀の価値がゼロになることはありません。
銀は何千年も前から貨幣や装飾品として使われてきた歴史があります。
産業用途でも必要不可欠な金属なので、需要がなくなる心配もないでしょう。
長期的な資産保全を考える上で、実物資産の裏付けがあるETFは安心感があります。
株式や債券のリスクを分散できる
伝統的な資産である株式と債券だけでは、市場の大きな変動に対応しきれないことがあります。
銀ETFを加えることで、より効果的なリスク分散が可能になります。
2008年の金融危機では株式も債券も大きく下落しましたが、その後銀価格は急上昇しました。
異なる資産クラスを組み合わせることで、想定外の事態にも対応できるポートフォリオを作れるでしょう。
銀市場の将来的な見通しが良好
電気自動車や太陽光発電の普及により、銀の産業需要は今後も拡大が見込まれます。
一方で、採掘可能な銀の量には限りがあり、需給バランスはタイトになっていくでしょう。
新興国の経済成長に伴い、装飾品としての需要も増加していく可能性があります。
こうした背景から、中長期的に見て銀価格の上昇が期待できるため、今から投資を始める価値は十分にあるといえます。
銀ETFのデメリットと投資する際の注意点
銀ETFには多くのメリットがある一方で、投資前に理解しておくべきリスクも存在します。
特に価格変動の大きさや、配当収入が得られない点は押さえておきたいポイントです。
このような銀ETFの制約を避けたい方は、プロが運用するヘッジファンドも検討してみてください。
金と比べて価格変動の幅が大きい
銀価格は金よりも激しく動くことで知られています。
短期間で20%以上も価格が変動することも珍しくありません。
市場規模が金より小さいため、大口の売買が価格に与える影響も大きくなります。
リスクを抑えたい投資家には、金ETFの方が向いているかもしれません。
実際の数値で比較すると、過去10年間の価格変動率(標準偏差)は以下の通りです。
- 銀:年率約30%
- 金:年率約15%
つまり、銀は金の約2倍のボラティリティがあることになります。この高いボラティリティは、短期的には大きな利益をもたらす可能性がある一方、大きな損失のリスクも伴います。
価格変動を抑えた安定収益を求める場合は、固定利回りを目指すヘッジファンドという選択肢もあります。
景気の影響を受けやすい特徴がある
銀の需要の半分以上は工業用途が占めているため、景気後退時には価格が大きく下落する傾向があります。
製造業の不振や、電子機器の生産減少が直接的に銀価格へ影響します。
金のような純粋な安全資産とは異なり、景気循環の影響を強く受ける点は理解しておきましょう。
不況時の資産防衛を主目的とする場合は、他の選択肢も検討すべきです。
実際のデータを見ると、銀の需要構成は以下のようになっています(2024年The Silver Institute調査):
需要分野 | 割合 | 景気感応度 |
---|---|---|
産業需要 | 約55% | 高い |
投資需要 | 約20% | 中程度 |
宝飾品需要 | 約15% | 高い |
その他 | 約10% | 低い |
このように、需要の70%以上が景気に左右されるため、不況時には価格が大きく下落するリスクがあります。
景気に左右されない投資手法をお探しなら、絶対収益戦略のヘッジファンドをご検討ください。
インフレ耐性が金と比べて低い
銀もインフレ対策になりますが、その効果は金ほど安定していません。
工業需要に左右される部分が大きいため、純粋なインフレヘッジとしては不完全です。
歴史的にも、高インフレ期に金は確実に上昇しましたが、銀は景気次第で異なる動きを見せました。
インフレ対策を重視するなら、金ETFと組み合わせて保有することをおすすめします。
商品によっては流動性が低い
国内の銀ETFの中には、1日の取引量が少ない銘柄も存在します。
- 【1542】純銀上場信託:約2,000口
- 【1673】WisdomTree銀:約500口(5,000口未満)
- 【1676】貴金属バスケット:約100口
特に【1673】と【1676】は流動性が低く、以下のリスクがあります。
- スプレッドの拡大:売値と買値の差が0.5%〜1%程度開くことがある
- 約定の遅延:希望価格で即座に売買できない
- 大口取引の困難:100万円以上の取引では価格への影響が大きい
流動性を重視する場合は、米国の【SLV】(1日の出来高:数千万株)を選ぶことをおすすめします。
基本的に分配金は支払われない
銀ETFは価格上昇によるキャピタルゲインのみが収益源となります。
株式のような配当収入は期待できません。
定期的な収入を求める投資家には向かない商品といえるでしょう。
長期保有しても、価格が上がらなければリターンはゼロになってしまいます。
金利や配当収入が得られない
債券なら金利収入、株式なら配当収入がありますが、銀ETFにはそうした定期収入がありません。
保有しているだけではキャッシュフローを生まない資産です。
老後の生活資金など、定期的な収入が必要な場合は他の投資商品と組み合わせる必要があります。
価格上昇を待つだけの投資になるため、忍耐力も求められるでしょう。
手数料が高めになる場合がある
銀ETFの信託報酬は年0.5%前後と、株式インデックスETFと比べると割高です。
株式ETFなら0.1%以下の商品も多い中、5倍近いコストがかかります。
長期保有するほど、この差は大きくなっていくでしょう。
海外ETFの場合は、為替手数料や現地手数料も加わるため、さらにコストが膨らむ可能性があります。
為替変動のリスクがある
銀は国際的にドル建てで取引されるため、円高になると投資成果が目減りします。
たとえ銀価格が上昇しても、それ以上に円高が進めば損失になることもあります。
国内ETFでも、間接的に為替の影響を受ける点は理解しておきましょう。
為替動向も含めて投資判断をする必要があるため、初心者には難しい面もあります。
現物での保管には適さない
ETFはあくまで証券であり、実際の銀を手元に置くことはできません。
【1542】純銀上場信託なら現物転換も可能ですが、相当な口数が必要で現実的ではありません。
現物を保有したい場合は、銀地金や銀貨を直接購入する必要があります。
ETFは手軽さと引き換えに、実物を持つ満足感は得られない投資商品だと理解しておきましょう。
金銀比価(GSR)の変動リスク
現在の金銀比価(GSR)は約85倍と歴史的高水準にあり、銀が割安とされています。
しかし、GSRが正常化せず、さらに拡大する可能性もあります。過去には以下のような極端な水準も記録されています:
- 2020年3月:GSR 125倍(コロナショック時)
- 1991年:GSR 100倍超
GSRが100倍を超えるような状況では、銀価格は金に対して相対的に大きく下落することになります。
代替材料開発のリスク
銀の産業需要の中でも特に大きな割合を占める太陽光パネルでは、銀の使用量削減や代替材料の開発が進んでいます。
- 銅ベースの導電ペースト:一部メーカーで実用化開始
- 銀使用量の削減:10年前と比べて1枚あたり50%削減に成功
- 新技術の開発:カーボンナノチューブなどの研究が進行中
これらの技術革新が急速に進んだ場合、銀の産業需要が想定より伸びない可能性があります。
ETF投資の本質的限界
銀ETFに限らず、ETF投資には市場の値動きに完全に依存するという根本的な限界があります。
どれだけ優れた銀ETFを選んでも、銀価格が下落すれば必然的に損失を被ることになります。
これは株式インデックスETFでも同様で、市場全体が下落すれば個人の投資スキルに関係なく資産は目減りします。
こうしたETF投資の限界を踏まえ、市場環境に左右されにくい代替投資手法として注目されているのがヘッジファンドによる資産運用です。
銀価格の推移チャートと将来の見通し
銀価格は過去40年間で大きな変動を繰り返してきました。
1980年には投機的な買いで一時50ドル近くまで急騰し、その後は長期間低迷が続きました。
2008年の金融危機後は安全資産として注目され、2011年には再び50ドル付近まで上昇しています。
2020年のコロナショック時にも一時的に30ドルを超えましたが、現在は20ドル台後半で推移しています。
価格変動要因 | 銀価格への影響 |
---|---|
金利上昇 | 価格下落(魅力低下) |
インフレ進行 | 価格上昇(ヘッジ需要) |
ドル高進行 | 価格下落(ドル建て) |
工業需要増加 | 価格上昇(需給逼迫) |
地政学リスク | 価格上昇(安全資産) |
今後の見通しとしては、電気自動車や太陽光発電の普及により工業需要の拡大が続くと予想されます。
一方で供給面では、既存鉱山の枯渇が進み、新規開発も限定的です。
金銀比価(GSR)が80を超える現在の水準は、歴史的に見て銀が割安な状態を示しています。
中長期的には需給バランスの変化から、銀価格の上昇余地は大きいと考えられるでしょう。
銀を買うならどれがおすすめ?購入方法について解説
銀への投資方法には、ETF以外にも現物購入や積立投資があります。
それぞれの特徴を理解して、自分に合った方法を選びましょう。
銀ETFの購入手順
銀ETFの購入は、証券会社に口座を開設するだけで始められます。
まずはSBI証券や楽天証券などのネット証券で口座開設を申し込みましょう。
本人確認書類をアップロードすれば、最短で翌営業日には取引可能になります。
口座開設後は、銘柄コードを検索して注文画面から購入するだけです。
NISAを利用する場合は、NISA口座の開設も同時に申請しておくとスムーズでしょう。
銀インゴットの購入方法と買える場所
銀の現物を保有したい方は、貴金属店や地金商で銀インゴットを購入できます。
田中貴金属や三菱マテリアルなどの大手業者が安心です。
最小単位は通常1kgからで、購入時には身分証明書が必要になります。
ただし保管場所の確保や、売却時の手数料が高いことは覚えておきましょう。
銀積立投資の始め方
毎月コツコツ投資したい方には、銀積立が手軽でおすすめです。
SBI証券や楽天証券では、月3,000円から銀積立を始められます。
ドルコスト平均法により、価格変動リスクを抑えながら投資できるのがメリットです。
積み立てた銀は、一定量に達すれば現物として引き出すことも可能な証券会社もあります。
銀ETFを購入できるおすすめ証券会社
銀ETFの取引には、手数料の安さと取扱商品の豊富さで選ぶことが重要です。
特におすすめなのは、SBI証券と楽天証券の2社です。
両社ともNISA口座なら国内外ETFの売買手数料が無料になります。
さらに、米ドルと円の為替手数料も無料化されているため、海外ETFも低コストで取引可能です。
比較項目 | SBI証券 | 楽天証券 |
---|---|---|
国内ETF 売買手数料 | 無料 (ゼロ革命対象者) | 無料 (ゼロコース選択時) |
海外ETF 買付手数料 | 無料 (NISA口座) | 無料 (NISA口座) |
為替手数料 | 無料 (米ドル/円) | 無料 (米ドル/円) |
銀積立 | 月1,000円から | 月3,000円から |
銀現物転換 | 可能 | 不可 |
SBI証券は銀の現物転換もできるため、将来的に実物を手にしたい方に向いています。
楽天証券は楽天ポイントが貯まるサービスもあり、ポイント投資を活用したい方におすすめでしょう。
どちらも口座開設は無料で、最短翌営業日から取引を始められます。
銀ETFの代替案:ヘッジファンドによる資産運用
銀ETFの価格変動リスクや市場依存性を避けたい投資家にとって、ヘッジファンドは魅力的な代替投資手段となります。
特に日本国内で投資可能なヘッジファンドの中には、市場環境に関係なく安定したリターンを追求する運用戦略を採用しているファンドが存在します。
市場下落時でも利益を狙える絶対収益戦略
銀ETFは銀価格が下落すれば必ず損失となりますが、ヘッジファンドは市場が下落している局面でも利益を追求します。
これは「絶対収益戦略」と呼ばれ、市場の方向性に関係なく収益機会を見つけ出すプロフェッショナルな運用手法です。
2020年のコロナショックや2022年のインフレ局面など、多くのETFが大幅下落した期間でも、優秀なヘッジファンドはプラスリターンを維持している実績があります。
プロフェッショナルによる能動的運用
ETFは市場の値動きをそのまま反映する「パッシブ運用」ですが、ヘッジファンドは経験豊富なファンドマネージャーが積極的に投資判断を行う「アクティブ運用」が特徴です。
市場環境の変化に応じて投資戦略を柔軟に変更し、リスクを抑えながら収益機会を最大化します。
個人投資家では困難な高度な分析や情報収集を通じて、市場の非効率性を利益に変える専門性があります。
単一資産に依存しない多角的戦略
銀ETFは銀価格の動向に完全に依存しますが、ヘッジファンドは株式、債券、不動産、コモディティなど多様な資産クラスを組み合わせます。
さらに、ロング・ショート戦略、アービトラージ、マクロ戦略など複数の運用手法を使い分けることで、リスクを分散しながら安定したリターンを目指します。
この多角的アプローチにより、特定の市場や資産の不調が全体のパフォーマンスに与える影響を最小限に抑えることができます。
年利10-30%の高リターン実績
国内の優秀なヘッジファンドの中には、年利10-30%という銀ETFでは実現困難な高いリターンを継続的に達成しているファンドが存在します。
これは単純な市場上昇に依存するのではなく、専門的な運用技術と厳格なリスク管理により実現されています。
銀価格が長期間低迷していても、ヘッジファンドなら市場環境に関係なく資産を着実に増やせる可能性があるのです。
ヘッジファンドと銀ETFの比較
銀ETFとヘッジファンドの特徴を詳しく比較することで、それぞれの投資手法の違いが明確になります。
比較項目 | 銀ETF | ヘッジファンド |
---|---|---|
期待リターン | 市場連動(過去5年:年19%) | 絶対収益追求(年10-30%) |
リスク特性 | 銀価格に完全依存 | 多角的リスク分散 |
下落耐性 | 市場下落時は必ず損失 | 下落局面でも利益可能 |
最低投資額 | 4,000円〜 | 500万円〜1,000万円 |
流動性 | 取引時間中いつでも売買可能 | 解約制限あり(四半期毎等) |
手数料 | 年0.5%程度 | 管理報酬1-2%+成功報酬20% |
運用の透明性 | 価格は常時公開 | 月次レポートで報告 |
プロ運用 | 指数連動(パッシブ) | 能動的運用(アクティブ) |
銀ETFは手軽さと透明性が魅力ですが、市場リスクを完全に受け入れる必要があります。
一方、ヘッジファンドは高い参入障壁がある代わりに、市場環境に左右されにくい安定性と高リターンポテンシャルを提供します。
おすすめヘッジファンド3選:銀ETFの代替投資として
銀ETFの代替投資として検討すべき、日本国内の優秀なヘッジファンドを3つご紹介します。
これらのファンドは市場環境に左右されにくい運用実績と透明性の高い情報開示で評価されています。
1位:ハイクア・インターナショナル合同会社
固定年利12%を目標とする安定重視のヘッジファンドとして、リスクを抑えた運用を求める投資家から高い評価を得ています。
項目 | 詳細 |
---|---|
目標利回り | 年利12% |
最低投資額 | 500万円 |
投資戦略 | プライベートデット投資 |
投資対象 | ベトナム不動産・事業投資 |
特徴 | 安定性重視・確実性の高い運用 |
銀価格の変動に一喜一憂することなく、着実に資産を増やしたい保守的な投資家に適したファンドです。
ベトナムの経済成長を背景とした堅実な投資案件により、市場の乱高下に影響されない安定したキャッシュフローを実現しています。
\無料の資料請求のみもOK/
2位:Action合同会社

2024年度に年利25.07%という優秀な成績を残し、多彩な投資戦略で高リターンを追求する新興ヘッジファンドです。
項目 | 詳細 |
---|---|
実績利回り | 年利25.07%(2024年度) |
最低投資額 | 1,000万円 |
投資戦略 | 株式成長投資・エンゲージメント戦略 |
投資対象 | 国内外株式・不動産・債券・Web3事業 |
特徴 | 多角的戦略・高成長ポテンシャル |
国内のバリュー株投資からファクタリング、Web3事業まで幅広い投資対象により、単一市場のリスクを回避しながら高リターンを実現しています。
特に成長性の高い分野への積極投資により、銀ETFでは到底実現できない収益性を追求する姿勢が評価されています。
\新進気鋭のヘッジファンド/
3位:GFマネジメント合同会社

年利平均29%という驚異的なパフォーマンスを記録し、大型株投資で圧倒的なリターンを追求するヘッジファンドです。
項目 | 詳細 |
---|---|
目標利回り | 年利平均29% |
最低投資額 | 500万円 |
投資戦略 | 大型株集中投資戦略 |
投資対象 | 日本・アジア大型優良株 |
特徴 | 高い透明性・ アクセスしやすい最低投資額 |
2023年設立の新興ファンドながら、経験豊富なファンドマネージャーの過去実績に基づく高い期待が寄せられています。
最低投資額500万円と比較的アクセスしやすく、大型株への集中投資により安定性と高収益性の両立を目指しています。
\500万円~の投資も相談可/
- 最低投資額:500万円〜1,000万円の資金が必要
- 流動性:四半期毎など解約制限がある場合が多い
- 手数料:成功報酬型のため高リターン時は手数料も高くなる
- 情報収集:各ファンドの運用方針と実績を詳細に確認する
よくある質問
銀ETFに関してよく寄せられる質問をまとめました。
- 銀ETFと銀の投資信託の違いを教えてください。
- 楽天証券で購入できる銀ETFの銘柄を教えてください。
- SBI証券で銀ETFを購入する方法を教えてください。
- 銀ETFはNISAで購入できますか?
- 日本で上場している銀ETF一覧を教えてください。
- 銀ETFと金ETFはどちらがおすすめですか?
- 銀ETF(1673)の特徴について解説してください。
まとめ
銀ETFは、証券会社の口座があれば誰でも手軽に銀投資を始められる商品です。最低4,000円程度から投資でき、現物保有のような保管の手間もありません。
銀投資が注目される理由は以下の3つです。
- 産業需要の拡大:太陽光パネルやEVでの需要が年率10%以上で成長
- 供給不足:2025年は年間採掘量の約20%が不足する見通し
- 金銀比価の歴史的高水準:GSR85倍と銀が割安な状態
日本で購入できる銀ETFのおすすめは以下の通りです:
投資スタイル | おすすめ銘柄 | 理由 |
---|---|---|
NISA活用 | 【1542】純銀上場信託 【SLV】iシェアーズ | 新NISA成長投資枠対象 |
コスト重視 | 【1673】WisdomTree銀 | 信託報酬0.49% |
分散投資 | 【1676】貴金属バスケット | 金・銀・プラチナ・パラジウムに分散 |
流動性重視 | 【SLV】iシェアーズ | 世界最大の銀ETF |
ただし、銀ETF投資には以下の注意点があります。
- 金と比べて価格変動が約2倍と大きい
- 景気の影響を受けやすく、不況時には大幅下落のリスク
- 配当や分配金がなく、値上がり益のみが収益源
- 国内ETFは流動性が低く、売買時にスプレッドが広がりやすい
これらのリスクを踏まえ、ポートフォリオ全体の5〜10%程度を目安に投資することをおすすめします。
銀ETFは中長期的な価格上昇が期待できる一方、短期的な値動きは激しいため、余裕資金での投資が大切です。まずはSBI証券や楽天証券で口座を開設し、少額から始めてみてはいかがでしょうか。
特に楽天証券なら、銀積立でクレカポイント還元(0.5%)も受けられるため、ETFと併用してコツコツ資産形成することも可能です。
一方で、銀ETFの価格変動リスクや市場依存性を避けたい方には、ヘッジファンドによる代替投資も有効な選択肢となります。
特にハイクア・インターナショナル、Action合同会社、GFマネジメント合同会社などの国内ヘッジファンドは、市場環境に左右されにくい安定した高リターンを追求しており、500万円以上の余裕資金をお持ちの方には検討価値があるでしょう。
投資は分散が基本です。銀ETFとヘッジファンドの特徴を理解し、ご自身の投資目的とリスク許容度に応じて最適な組み合わせを選択することをおすすめします。
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